アメフト用語の基礎知識(ライン編)大山泰生(69回)

創部10周年に発行された部誌第2号に書いた私の原稿です。当時おそらく卒後1年目だったような気がします。故早川監督にお褒めいただいたのが自慢です。まあいわゆる「悪魔の辞典」のパクリですが、ご笑覧くださいませ。

誰か増補改訂版を考えてくれれば、随時掲載しますので原稿を送ってください。

あなあけ 私のー番好きだった練習。
あめりかんふっとぼーる やっている最中はそうでもないが、引退するとむしょうにやりたくなる不思議なスポーツ。
あんかばーどらいん 同じオフェンスラインでありながらブロックする相手が遠くにいる分疲れる損なポジション。
えるぼーぱっと ラインの堕落の徴候。
おーでいぶる ラインを突然パニックに陥れる恐怖の呪文。
おふぇんすらいん 頑張ってバックスの走る穴をあけ、クォーターバックのためにパスプロテクションをすればするほど観衆の目はバックスやレシーバー、クオーターバックにあつまり、ますます日陰者になっていくという自己矛盾にみちたポジション。
かきぬまみつの 宮沢コーチいわく、「動く岩」。
がっしゅく 行きは地獄、帰りは極楽。
がーど 前後左右に同じスピードで動ける貴方におすすめのポジション。
きゅーびーさっく ディフェンスラインの勲章。なかなかこれが難しいんだ。
せんたー オフェンスラインの中で唯一ボールに触れることのできるポジション。でも私は遠慮します。
たいみんぐ 春はボロボロだが、秋には合ってくるのが不思議だ。
だうんふいーるどぶろっく オフェンスラインに課せられる試練。決まれば、最高に格好いい。
だっきゅう、こっせつ 誰でもー度は通る道。私はどっちも知らないが。
たっくる 前後左右に同じスピードで動けなくても、スナップが下手でもできるポジション。
たっちだうん まあ、ラインの夢ですか?
だみー ラインの恋人。
ちゃーじ やる分にはいいが、オフェンスにとっては頭痛の種。
ていさつ とりあえずは、TD誌で身長、体重だけはみておこう。
でぃふえんすえんど やったことないからわかりません。吉孝さんのツーポイントシフトは印象的でした。
でぃふえんすたっくる 諏訪達志いわく、「ガンと当たって、ガシッと止める」ポジション。
とうぐういっしゅう ラインの禁忌のひとつ。同義語に「さかみちだっしゅ」がある。
とりかご ラインには広すぎる土地。
とらっぷぷれー ラインに最大の屈辱を与える方法。
にーぶれ 中古のラインを蘇らせる魔法の道具。今は整形外科でもらえますよね。谷戸先生。
のーず センターの天敵。
ぱすぷろ ちゃんとやって当然みたいにみられるけど、なかなか難しいんだよね、増田君。
はどる! センターの密かな楽しみ。同義語「はっっどる!」「はっど-!」
はんどおふ ラインの元気の素。
ふえいく 下手くそなランニングバックがやると単なる時間の無駄。
ふえいすますく ラインが唯ーのおしゃれできるパーツ。
ぶりっつ 「ちゃーじ」の同義語。
ぷるあうと 私の禁忌。
ぷれーちゃーと 年々厚くなってラインの頭を悩ます本。
まねーじゃー 試合、合宿のオアシス。いつも御苦労様。
みやざわよういち ラインの精神的支柱。別名「増田の天敵」。
らんにんぐばっく 「らいんばっかー」同様、ふりむげばそこにいるのに、ラインにとっては試合中なにしているかよくわからん人々。
わんおんわん 弱肉強食のワンダーランド。強いやつが偉い。犬の交尾じゃありません。

おまけ次のページに載っていた大親友の久保やンの原稿も載せました。こういうくだらない原稿があれば、どんどんこのサイトに載せますからよろしく。

魔人伝説久保田英司

20××年、慶應大学医学部アメリカンフットボール部は、大学王座決定戦に辛勝し、ライスボウルにまで駒を進めていた。しかし選手層の薄さと、前の試合における度重なる負傷により、ラインはもうほとんど使える状態にはなかった。ラインのコーチである宮沢老人も、その事で頭を悩ましていた。「こんな時に、あいつらがいてくれたらのう。そうは言っても奴らは、もうこの世にはおらんしのう」そうつぶやきながら老人は、チベットの高僧ヌカスゾコシワルト老師(老師はドイツから帰化したらしい)から譲り受けた壷の事を思い出していた。「そう言えば老師は、窮地に立たされたとき、この壷を割ると不思議な事が起こると言っておった。」そうつぶやくと床の間に飾ってあった壷に手を伸ばし、傍らにあったメットをつかみながら「今がその時じゃ」と言うが早いか、メットは壷に振り下ろされた。すると驚いた事に壷から「蛋」、「食」、「酒」の3字が刻まれた3つの玉が天に飛び散った。
老人は、天を見上げたまま腰を抜かしていた。「いったい、今のは何だったんじゃろう」。同じ頃、日本アルプスの山中に3つの輝く物体が落下するのが観測されたと、新聞社や天文台に問い合わせの電話が殺到していた。その日の夕方、ニユースでは各局とも、その事件の事を大きく取りあげ、「ノストラダムスの大予言か?」「UFOの飛来か?」等様々な意見がとびかっていた。その後、異変も起こる事なく数日が過ぎ、地元でも、時折薬局からプロテインの缶が、ちゃんこ屋からちゃんこの材料が、酒屋から焼酎が盗まれる位で、誰もあの事件と結びつける者もいなかった。
ライスボウル当日の朝、老人は普段より早く目を覚まし、床の中でその日の試合の事を考えていた。しかし彼の頭に浮かんでくるのは敵チームより不利な状況ばかりであった。気が滅入ってくるので考えるのをやめ、ふと床の間の方を見やりながら壷の事を思い出し、こうつぶやいていた。「ペテン老師め」
予想された通り試合は、相手チームの一方的な展開で0-42と前半を終り、ハーフタイムを迎えていた。焦りとあきらめがそうさせているのか、ひきあげてくる選手達の顔にも、普段より疲れがあらわれていた。その時である。「ゴクッゴクッ」「ガツガツ」「ウイー」という不気味な音.を上げながら、グランドに向って3つの影が近づいてきた。1人は、両手にスクイズボトルとプロテインの缶を持った久保田と、1人は、両手に持ったちゃんこの鍋に顔を突っ込んだ諏訪と、もう1人は、腕に点滴を打ちながら焼酎をらっぱ飲みしている大山の3人の姿であった。そう、彼らは、数十年前、目本アルプスで遭難したまま消息を絶っていたのである。その彼らが当時の姿のままグランドに現れたのである。
彼らは選手からブレーチヤートをひったくると「こんな難しいのは分らん。ハンドオフとパワーとダイブだけにしろ。絶対ベアー(大山注ラインのプルアウトをともなうオープンプレー。私は大嫌いだった。)は使うな」と言い捨て、グランドに出ていった。その後、チームは56-42の奇跡的な大逆転を果たし、全国一の王座を手にした。試合が終わると彼らは、宮沢老人に近づき、「又、何かあったら、この壷を使って下さい」そう言うと、ベンチに置いてあった自分の持物を手に再び不気味な音を上げながら、やって来た方へと去っていった。
老人は、去って行く彼らの背中を見送りながら、こう思っていた。「部誌3号が出る頃には、再びこの壺を割るやもしれんのう」〈親愛なる読者諸君、細かい矛盾にはふれないように)